泣きべそかきながら、歯を食いしばって走り続けます。 後方から今度はロータス340Rがやって来た。 340Rも車高が低いはず! 大丈夫なのだろうか? と思いながら走っていたら、今さっき追い越して行かれたジャガーが道路のド真ん中に止まっていた。 その先には黄色いヨーロッパや他2〜3台のマシンが確認できる。 ただ事ではない雰囲気! 呆然と立ちすくんでる人も居た。 「げっ!通行止め?」 「まさか誰か崖下に転落したのか?」 背の高い男性が駆け寄って来た。 ケガ人運べる車じゃないし… 現在地も分からない、携帯電話も圏外で使えない場所で発生した大事件。 w(>。<)w うわぁーっ!! 誰かが首吊ってる!! なんて恐ろしい光景に出遭う事もなく… 駆け寄って来た男性は大きな声と満面の笑顔で『正解です!この道で正解です!間違っていません!もうすぐ国道471号線に出られます!!』と僕に伝えながら…340Rの方にも叫びながら走って行きました。 (T。T)やっと国に帰れる。 此処からは皆で楽しくゴールの飛騨エアパークまでツーリングモード♪ …だと思ったら、まだ暫く続く悪路を皆さん全開で突っ込んで行っちゃいました。 僕の前だったマシンが見えなくなるまでに時間はかかりませんでした。 最低最悪の道は次第に最低の道に格上げされ、だんだんアスファルトの部分が多くなってきました。 路面さえ復活すればこっちのもの! 一気にアクセルを踏み込んで前方の集団に追いつきました。 川を挟んで国道471号線が右手に現れてきた。 体験したくもないような感動を噛みしめた。 しかし国道471号線に合流するまでに儀式は2つ! 儀式@ 【砂利道走行】 橋を2つ越えて国道471号線に出るワケなのですが、最初の橋の手前はダート宜しく状態。 もちろん低速で通過したけど前輪で巻き上げられた小石や砂は容赦なくアルミボディとフェンダーを襲った。 儀式A 【段差】 2つ目の橋を越えて国道471号線との合流部分は、九州往復で乗ったフェリーの積み込み口の段差並み! 国道417号線上はスッゲー速度で一般車が走ってる。 しかも右側は橋の欄干やたくさんの木で見通しが悪くて命がけ。 最後の最後まで酷道831号線(8月31日に遭遇した最低最悪の道)は606号を苦しめた。 前のマシンまでは一気に合流して今までのストレスを解消させるかの如く趣味車的音色(爆音)を奏でながら行ってしまった。 ゼッケン9番チキチキ606号は相変わらずグズグズと動作が鈍く、石橋を叩いて合流していたほど。 此処からゴールまでロータス340Rの御夫婦と不思議なツーリングをする事となった。 全工程約80kmのうち半分は酷道831号線だったのではなかろうか?? 国道471号線に合流して340Rとツーリング状態。 此処からゴールまで道に迷わない自信はあった。 って言っても国道471号線から国道41号線に出て一度曲がればスタートと同時に間違いに気がついた交差点に出るんだもん♪ 心身共に疲れきっていたけど、少しずつ癒されてきた感じ。 酷道831号線と国道471号線…まさに天国と地獄の違いだ! コンビニもある! ガソリンスタンドもある! 自販機もあるし携帯電話もバリ3!! 「嗚呼…洗車したい。」 このラリーではいろんなクイズも用意されてます。 道の駅の名前、橋の名前、川の名前、大きな看板に書いてある事などをチェックしながら進まなければなりません。 何処かで一旦停止して606号の点検をしたかったけど、確実に時間は遅れていると思い…国道471号線を走り続けた。 道の駅/スカイドーム神岡を右手に空腹なのを確認した。 何か食べたい。 せめて何か冷たい飲み物が欲しい。 そう思って道の駅に入ろうとしたけどポケットに財布が無い。 出発前にガソリンは満タンだったので「必要ない」と言い残して配達号に置いてきた事を思い出した。 「小銭持ってる?」とナビに聞いたら… 「一銭も持って来てないよ♪」と笑顔で言うので、道の駅には寄らずにゴールを目指しました。 国道41号線に出た午前11時過ぎ。 空腹は絶頂に達して倒れそうになった。 これが本当の空腹絶倒! 疲れもピーク(>。<) なにせ首を伸ばしながら地面や前方を確認し続けて40kmぐらい走ったので肩がコリコリ。(翌日肩が激痛だった) やはり休憩は必要だ。 国道41号線のクネクネ道を楽しみながら上ったり下ったりして、左側に道の駅のようなPAを発見したので入りました。 340Rはそのまま通過しちゃった。 だから時間が無いのかと気持ち焦った。 PAに入っても何も買えない(T。T) 買うお金が無い(T。T) 腹減った(T。T) 喉渇いた(T。T) そんな泣き言よりも606号が心配! 日陰の駐車場はマイカーに占拠されていたので、ささやかな木陰に駐車。 ナビがトイレに行ったのを見計らって、リアフェンダーに貼り付いた両生類や爬虫類を取り除きました。 ドブの中を走ったような酷道831号線。 帰ったらリアフェンダーを外して、明日『夏休みの宿題!』昆虫採取ならぬ『両生類&爬虫類採取』として提出できそう! 担任が女性だったら倒れるだろうな♪ 不思議な形でリアフェンダーに刺さってる小石。 これだってなかなか作れしない。 最初に貼り付いたミミズに小石がHITして乾いたら出来上がり♪ まさかミミズが接着剤の代わりになってるだなんて…。 とりあえずナビが戻ってくるまでに気色悪い部分は削除しておきました。 続いてボンネットを開けてエンジンルームの点検をします。 特に何かが外れていたり、オイルや冷却水が漏れている形跡もなく…観光客が集まりだしたので即閉店。 即閉店してる様子で何かを察したのか、笑顔で寄り始めた観光客の小隊は回れ右をして帰って行きました。 こんなのも初めてです♪ 606号の下周りを点検していたらバイクのツーリング途中の男性に声をかけられた。 「何馬力?」 「重さはどのくらい?」 いつもと同じ質問を受けた。 いつも通り普通に答えておきました。 「ここから先は白バイが脇道で張ってるから注意してくださいよ!」と教えてくれた。 そうかぁ! 天気イイし… ここまでの道もかなり空いてて制限速度遥超過で来ちゃったから注意しなきゃ!! って… こんな道を制限速度で走れるかっちゅーの!! |
エンジンが壊れるくらいブン回したかったけど…それは上り坂だけにしておきました。 下りは絶対白バイが張ってるはず! 通常よりも1速上げてキャブの吸気音を味わい、乾いた空気をナビと楽しみました。 雨の降る予感0% 「嗚呼…洗車したい!」 前にも後にもラリーに参加しているマシンは見えなくなりました。 単独で走っていると路肩にオースチンヒーレーやロータスエスプリターボが停車してるのを発見。 「皆さん休憩してるんだなぁ♪」と思ったので、笑顔で手を振りながら通過。 う〜ん♪これぞタイムラリー♪ 結構楽しいぞ!! この頃からナビは仮眠体制に入り始めた。 酷道831号線では一生懸命に安全な道に誘導してくれてたから疲れたのでしょう。 できるだけ静かに走りました。 ふと前方を見ると、右の脇道からゼッケン10番のロータス340Rが出てきました。 右側からどうして? まさか白バイに誘導された?? 340Rが出てきた側道を見ると白バイが居ない代わりに素敵な岩清水の採取場所がありました。 (>。<)うううう…喉が渇いた。 ここで休憩すれば冷たい水も飲めたし、もっと綺麗に洗車できたかも! 前を走る340Rが妙に元気に見えた。 緑豊かな国道41号線から、だんだんと飛騨市内に入ってきました。 12時08分にゴールしなければならなかったのに、既に11時40分近くになっている。 ここから飛騨エアパークまでの距離と時間は全く分からない。 所々でクイズにも答えなくてならない。 僅かな仮眠で起きた(たぶん暑かったのでしょう)ナビがクイズの答えをチェックシートに記入しています。 「時間… 大丈夫?」とナビが心配そうに聞いてきました。 「もう、無事に帰れればいい。」と、ラリーの結果よりも606号の無事と僕らの安全を考えてゴールを目指しました。 606…既に体力ゼロ状態。 なんとかスタート直後にUターンした所まで戻ってきました。 ゴール時間までには余裕があった。 340Rと一緒に飛騨エアパークの滑走路脇の道を走ります。 油圧が微妙に低い状態が続いてる606号だったので、回転を雄叫びの如く上げながら到着。 スッゲー盛大な拍手と喝采、花吹雪の中でのゴールを想像していたのに、葬式みたいなゴールでガックリ。 拍手すら無い。 エムさん御夫婦はトラックで仮眠中だったし… 皆さん弁当食べて脳死状態だったみたいです。 ゴールライン手前で時間調整です。 10分ぐらいあったのでエンジンを止めてロータス340Rの御夫婦と健闘を称えあいました。 そう! この雰囲気!! これぞ完走の醍醐味ですね♪ 感動してプチ涙が溢れました。 これまでの苦労や感動の余韻を味わってる時に、オフィシャルの男性が一言… 「あ〜… もうゴールしちゃってください。」と…。 まだ3分以上も早いのに大丈夫なのだろうか? とりあえずゴールラインを踏んで、これまでスタートとチャックポイントでやった3つのタイムアタックを済ませてフィニッシュ! 車両保管場所に誘導されて気がついた事… 赤いジャガーしかゴールしてない!! って言う事は?? 誰も帰って来てないの?? 僕がゼッケン9番だから他に7台は到着してるはずなのに。 しかも340Rより後続はやって来ない。 なんだか投げやりな雰囲気のゴールだった。 車両保管を済ませて大会本部にチェックシートを渡して弁当とお茶をいただきました。 オフィシャルや事務局はタダならぬ雰囲気です。 それもそのはずで、酷道831号線で5台近くが動けない状態らしい。 積車も入り込めない道なのに… 小さな趣味車だから通れた道! どうなるんだろう? 他にも国道471号線や国道41号線上で動けなくなってるマシンが数台いるらしい。 (>。<)路肩や脇道で休憩や時間調整してたんじゃなかったんだ! 今さらどうする事もできなかったので、まずは腹ごしらえ。 弁当2人前近く食って腹いっぱい&大満足(^-^)♪ エムさん御夫婦にラリーの一部始終を話したりして時間が過ぎました。 大会本部は大忙しです。 一番の問題は、酷道831号線は携帯電話が通じない事。 連絡の取りようが無い事でした。 配達号でトレーラー引っ張って救助に行っても間違いなく二次災害を引き起こすだけだし…。 僕らは事態を静かに見守るしか術はありませんでした。 そうこうしてるうちにゴールが閉鎖される時間になりました。 つまりラリー終了時間(13時10分)です。 「おいおい!20台参加して4台くらいしか戻って来てねーぞ!!」 だけど変だなぁ… 僕の前には熊象蛇虎さんのジャガーや、「この道で正解です!」と叫びながら走ってきた男性が運転していたカルマンギア、それに黄色いヨーロッパS2もゴールしていない。 カントリーマンも! いったいどうしたんだろう? いったい何が起きてるんだろう? 詳細を知りたかったけど、大会本部に聞きに行ったら野次馬みたいだから静かにしていました。 そのうちに0−400m参加者の練習走行が開始されました。 ラリーに参加してなかった人達が練習を開始します。 僕も0−400mにエントリーをしていたので練習したかったけど、どうにも606号が心配でリタイアしたい感じ。 フレームや足周りに酷いダメージを受けているに違いない606号。 国道471号線からはエンジン絶好調だったので、やってヤレない事もない感じ。 だけど606号は4ヶ月近くオイル交換していない。 前日にオイル交換しようと思ったのに、あの集中豪雨。 翌日も雨の予報だったので0−400mはまともにできないと判断していたのに…。 8000回転シフトアップの606号だったけど、7000回転シフトアップで2回ほど練習させていただきました。 滑走路でやる0−400mは安全なので気持ちよく踏めますね(^-^) だけど間違ってもオイルを撒くような事はできません。 だってこの滑走路は緊急事態や地域の食料輸送も担ってる滑走路。 オイル撒いたら参加者だけでなく、地域一帯に計り知れない迷惑をかける事になっちゃうもんね。 絶対に新聞沙汰になるし!! 0−400mの練習走行が終わってもゼッケン8番のスーパーセブンが1台帰ってきただけです。 ここから0−400mの話になりますが… ラリーの話を続けます。 結局、道に迷った参加車両も、僕よりも前を走っていた参加車両も動けなくなった参加車両を救助に向かったり修理を手伝ったりしていたみたい。 午後4時過ぎの表彰式までには全車いろんな形で戻って来ました。 一番凄かったのはポルシェ911のオーナー。 愛車が動けなくなって、なんとかJAFに電話したんだけどJAFが到着するまでに3時間かかったそうな! ラリーの表彰は得点や到着タイムにあまり関係のない表彰でした。 それがエンスーな競技ですね♪ ゼッケン9番チキチキ606号は表彰されなかったけど、プチ無事に戻れた事のほうが嬉しかった。 もうあんな道は「走りたくない!」と飛騨エアパークの中心で叫びたい。 0−400mと帰るまでの事は続編Cに続きます(^0^)/ by606 |