大きな耐久レースに挑戦したかった。 勝ち負けは仮面ライダースナックのお菓子程度に、何か大きな山を皆で制覇したかったです。 9時間耐久レースを知ったのは2008ユーロカップのHPを徘徊していた時。 何気なく無気力この上なく閲覧していた時でした。 そこで楽しそうな画像が次々と現れ… 「これだ!」 と全身に衝撃が!! 今までは美浜サーキットで90分の耐久レースをやってきました。 4回ぐらい参戦したかな? 一番最近では運と実力とナイツ店主さんのおかげで3位表彰台にも立つ事ができた。 耐久レースは100%の完走率! 9時間って90分の10倍?? そんな馬鹿な計算しかできない僕は、自分勝手に無理だと判断。 これもまた『なんとなく』計算機で9時間×60分=540 540分÷90分=6 な〜んだぁ6倍じゃん!! じゃあ無理ではなさそう。 そんな安易な考えで『やりたいモード』に突入しました。 そう言えば昨年の夏(同じ頃)に関西軍団さんと合同ツーリングしています。 セントラルサーキットは兵庫県。 うむむむ? 今年はセブンでツーリングじゃないけど、また皆で遊べたら楽しいし嬉しい♪ チキチキのメンバーも参加してくださるので、今年も合同で遊べそう。 ルンルン気分で各方面にオファーしました。 9時間の耐久レースに1チームでエントリーできる人数は15人まで。 15人で参加したら、交代時間も含めて一人30分ぐらいしか走れない。 それに多いと順番がなかなか回ってこないのでダレてしまいがち。 かと言って少ないと体力的に問題が出てくる。 一番良い人数って何人くらい? 大勢誘って大勢集まっても大変だし… 全然集まらなくても大変だし… そんな最初の一歩から転がり続けていた606でした。 結局15人ぐらいにオファーを出して9人のエントリーが決定しました。 9人だったら一人1時間弱の運転。 とても計算し易い。 ミニのボディにも9人のハンドルネームを刻みました。 ノーマルとは思えぬぐらいのステッカーチュ〜ンも同時進行。 外見フルチューン! 中身はフルノーマル! (実はコレ、当日面白い事になりました) そして6月下旬に申し込みをしました。 いろいろ訳あってマシン名を『ど!のーまるミニ』でエントリー。 Sタイヤのクラスにしようか? ラジアルタイヤのクラスにしようか散々悩んだ挙句に、「ラジアルタイヤでエントリーするチームなんて居ないだろう!」という、これまた安易な考えでラジアルタイヤのクラスに決定。 まぁ、Sタイヤで9時間も走り続けたらミニがバラバラになりかねないとも思ったからです。 ミニのラジアルタイヤって…?? 近所のタイヤ屋さんで相談したら、12インチだとダンロップのVグリッドか同じくダンロップのR7というタイヤしかないらしい。 他のメーカーでも有るそうだけど、サーキット走行ならこの2つらしい。 全然分からなかった。 どちらが良いのか分からなかったけど…相談した結果R7に決定。 9時間戦えそうなタイヤらしいという、これまた安易な考えでした。 この頃になるとチキチキミニが9時間耐久レースに出るというプチ噂が広がる。 「エンジン壊れるよ!」 「真夏の9時間は無理だって!」 「よーやるわ!」 「命知らずやなぁ!」と皆さんから 7月上旬にミニをレース前点検のためにナイツブリッヂさんに預けました。 足回りはこれまでの90分耐久レースで酷く傷んでいたのでゴッソリと新品に交換。 もちろんブレーキパッドも新品に交換。 さらに一番大掛かりだったのが後部座席(運転席側)のガラスをアクリル板に交換してエアーダクトを設置していただきました。 ブレーキを冷やすエアーダクトは前後設置してあります。 コクピットに取り入れた空気を後に逃がすために後部ウインカーに穴を開ける徹底ぶり。 7月30日(レース4日前)にミニを引き取りに行って来ました。 万が一ブレーキパッドが消耗した時の為にパッドの交換手順も学びました。 明日からはゆっくりレースの準備に取り掛かろう!と思ったら、仕事がパニックになってしまった。 繁忙期が終わって暇になる一方だったのに…。 嵐のような忙しさ。 必要な物は全て部屋に並べて準備を進めていたので助かりましたが、それでも時間が足りない。 備えあれば憂いなし! もし準備を進めていなかったら恐ろしい事になっていた。 日曜日じゃなくて土曜日のレース。 基本的に日曜日しか休みがない僕は土曜日を丸ごと休むには本当に大変でした。 金曜日は5時に起きて速攻でミニを洗車しました。 ついでに1年ぶりにワックスも掛けたよ。 だって雑誌の取材やテレビ局も来るからね! 綺麗なマシンだとモチベーションも上がる。 念入りに輝かせてからドリンクホルダーを補強したり、なんだかんだ大汗かきながら午前中はミニの手入れに専念。 午後からは汗臭い体を引きずって土曜日にする配達をしました。 かなりフラフラになって帰宅してからは、配達号の中を片付けて恐ろしいほどの荷物を積み込みました。 腰が痛い。 さらにトレーラーを牽引してミニを積みました。 暑いし腰が痛いし… 終わってからは無気力&不機嫌。 でも… 明日は嬉しい事に晴天。 嬉しい事に(@。@)? ■8月2日 (土曜日)■ 親父の65歳の誕生日だった。 午前0時起床。 寝る寸前まで準備をしていたので3時間ぐらいしか寝ていない。 走る順番を考えたり、一人当たりの走行時間を考えたりしていたので頭が痛い。 目覚ましに腹が立ったほどです。 焼きそばの材料を冷蔵庫から出してクーラーボックスに詰めます。 何を血迷ったのか、焼きそばの麺は24玉も買ってしまった。 もちろん肉やキャベツも24玉分。 大きなクーラーボックスにギューギュー詰めです。 保冷剤1個で大丈夫か? さらに増えた荷物を積み込んで午前1時に家を出発しました。 昨日の疲れが全く抜けず… 昼間なら景色を楽しめるので眠気も減るのに、深夜の田舎道と高速道路は、ドロロン睡魔くんが何度も現れる。 カパエルよりはマシだけど、できれば雪子姫が現れてくれたほうが嬉しい。 ただひたすら高速道路を走った。 途中、ちょっとした上り坂になるとエアコンを切ってのり越える。 ミニを引っ張ってるだけならエンジンに負担は少ないけど… 配達号の荷台だけでも過積載に近い。 この状態でのエアコンは自爆行為そのもの! 西宮名塩の心臓破りの坂が一番大変でしたよ。 登坂車線を使っていたけど、もう一つ左側に登坂車線がほしかったぐらい。 命からがら上りきって、赤松PAで小休止しました。 ここでトラふぐさん&shige1710さんの車を待ちました。 しかしまだ遠いみたいだったので、のんびりセントラルサーキットに向けて出発しました。 新名神高速道路の土山PAでラーメン食ったりお菓子食べながら走っていたので、歯を磨きたかったのが目的でした。 カーナビに誘導されながらも滝野・社ICを出て直ぐに道を間違えた。 5月に来た時と同じ間違いをしてしまった学習能力ゼロの606。 言い訳程度に近くのコンビニでクラッシュアイスと板氷を大量に買い込んで… ちょっと道に迷いながらセントラルサーキットに到着。 今まで来た道と正反対の方向から到着しました。(何やってんだか?) サーキットのゲートオープンは午前6時半からで、しっかりとバリケードが張ってありました。 直ぐ近くの駐車場が待機場所になっているので、迷わず進入。 既にアルファロメオの小隊が3個駐屯しています。 「なんとも馴染めない雰囲気だなぁ。」と呟きながら後に並びました。 直ぐにトラふぐさん&shige1710さん、そして雨天中止さんが到着したので安心しましたが… アルファロメオの1個小隊では朝礼が始まっている。 走行順・タイヤ交換の責任分担と…何から何まで細かく小隊長が指示している。 僕はこの光景を見て寒気がしました。 「どのチームもこんなんかぁ〜?」 うちらは何にも決めてない。 『夏のウルトラ9時間耐久まつり』の『まつり』って何?? 『血祭り』にされそう!! そんなアルファロメオの小隊長の作戦を、僕は聞き耳立てて容量の少ない脳にインプット。 「なるほど!なるほど!」と完全に記憶。 朝礼が終わったと同時にアルファロメオの小隊は突然着ていた服を脱ぎ始めたではないか!! ブリーフ一丁になる人も居た。 いったい何が始まるのかと思ったら、全員お揃いの作業ツナギを着始めた。 カッコイイ! 来年は絶対マネしよっと♪ そのうちに808さん・関西のI川さん・twinsさんが到着。 雨天中止さんが「I川さんとtwinsさんは絶対遅刻しますよ。」と… え"〜っ? ドライバーズブリーフィングに参加しないとペナルティなのに! と、胃がキリキリ痛んでいた矢先の到着だったので太田胃酸を飲んだ気分でした。 たった20数台の参加なのに外の駐車場はマイカー8割で溢れかえってます。 それでも定刻6時半にゲートオープン。 かなり前列に駐車していたのでスムースインです。 サーキット内の駐車場(積車置き場)に進入して大急ぎでミニを降ろしてトレーラーを切り離します。 ここからPITまでは僕がミニを運転して909さんが配達号を運転。 時間がありません! 既に車検は始まっています。 しかも午前7時ちょい過ぎからは予選も始まる。 急いで受付に行ってゼッケンと計測器を貰って貼り付けます。 貼り付けてる最中に「予選開始まであと5分です!」とアナウンスが聞こえる。 スッゲー忙しい(>。<) ゼッケンやら計測器の貼り付けを頼んで僕はレーシングスーツに着替えました。 そんな時でも「各マシンはPITロードに整列を開始してください!」と、わざと焦らせるようなアナウンスが流れる。 目の前は赤(アルファロメオ)や黒(BMW)のマシンが次々と通過する。 燃料を20リットル入れてもらって、適当にレーシングスーツ一式を着込んでヘルメットを被ってPITロードに進みました。 予選なんて耐久レースにとって無意味だと思っていた606なので、ミニの調子と初めて履くラジアルタイヤの具合を確かめる事に専念していました。 それに…予選でエンジンを壊したり、コースアウトして走行不能になったら皆に申し訳ないから『石橋を叩いて走る』感じで、午前7時10分に予選コースイン。 とりあえず1周は走らないと予選通過が面倒。(走らないと嘆願書やら何やら必要) 最初の1周は誰もが慣熟走行に徹するだろうと思っていたのに、最初の裏ストレートでバンバン抜かれる。 「げっ!もう本気走り?」と思う暇もなく、奥の登りコーナーの連続では右から左からアクセル全開で抜かれていく僕。 「あれ?もうレース始まってるの?」と戸惑う僕。 無事に1周して、少しずつペースを上げました。 それでも抜かれまくる僕。 アベレージスピードは危険なほど違っていた。 「こんなのちっとも『祭り』じゃないよ! 下手すりゃ『血祭り』だ。」とヘルメットの中で叫びながら参加した事を後悔し始めた。 そうなると人生に余裕が無くなって頭の中が真っ白になっちゃう606。 606が一番危険な時です。 2周目の立体交差手前からタイムアタックモードに入りました。 アクセルは全開。 それでも抜かれる悲しい定め。 最終コーナーはチョンブレーキングで即アクセル全開。 インジェクションの恩恵でキャブのように一息入れる事もなく加速します。 それでも抜かれる悲しい定め。 「とにかく1周ぐらいは良いタイムを出さなきゃ!」という似合わない欲を剥きだしにして1コーナーに進入。 セブン以外では走った事の無いセントラルサーキット。 ましてやFRとFFでラインは違うだろうけど… そんなの無能な606にとってはお構いなし! FRのラインしか走れないし、分からない。 他のマシンの姿は前方にも後方に確認できず… 調子よくクリア走行♪ タイヤのグリップはラジアルとは思えない食いつきで恐怖感は消えた。 一番高い所まで気持ちよく登りつめて下り始める最初の左コーナー。 頭の中では「やっぱりここは怖いなぁ。この先はもっと怖いなぁ。」と、数年前に旧606号がクラッシュした時の事を思い出していた。 と! その時、ルームミラーには映っていなかった黒い影が左サイドミラーにチラっと映った。 斜め横にマシンがいる!! 既に凄く大きく映っている。 左コーナーのイン側に入り込まれている。 ステアリングはまだ左に切り込んでる最中! 荷重は右に激しく移動してる。 それでも右に回避しないと接触する。 しかも急な下りが始まったばかりだから、そのまま左にステアリングを切って接触すれば間違いなく横転する。 接触か? 横転か? このままの勢いで下りながらグラベルに突っ込めば接触横転以上のクラッシュが待っている!! ああ… ぁぁ... ぁぁ... つづく。 by606 |