たかす雪まつり 後編



全員そろって雪焼け!!

 巻尺を3m引っ張って、頭の中で3m×3m×3mという二次元の立方体を作り上げていた606。 前夜に見た三次元のブロックは僕が想像していたよりも遥かにデカかった。
 
 小手先ほどのノコギリ… 880円のスコップ… どれも役立たずな武器だと痛感するのに、さほど時間はかからなかったです。
 「これぐらい独りでできる!」 「チェーンソーなんて必要ない!」 「午前中に帽子と角まで完成させる!」 全ての考えと予定が作業開始2時間で覆された。


 各チームに与えらた3m×3m×3mのブロックは最初は100%雪だったはず。 しかし、圧縮されて10日近く放置されていたブロックは雪ではなかった。 でも氷でもない。 僕的には小学校の授業で彫った事のある軽石みたいな感じでした。 3m×3m×3mの軽石にスコップを突き刺しても弾かれるのがオチ。 それなりに削れはするけど… フォークでスープをすくい上げて飲んでるに等しい。

 「独りでは絶対に無理だった!」 「チェーンソーは絶対に必要だった!」 「10時間かけても帽子も角も出来上がらなかっただろう!」


 わずか2時間でメンバー全員が『完成できない』と思っただろう。  僕も思った(T。T)


 隣の10番ブロックは、僕が当初の予定で作ろうと思った『合掌つくりの民家』でした。 あわや重複するところでした! 作業に携わる人数は10人以上。 しかもチェーンソーを4機フル稼働してる。 午前中には完成できちゃいそうな速さで、僕はスッゲー焦ってしまった。
 
 とにかく急いで帽子と角を作って、顔から下の作業工程に入らないと完成できない。 休む時間を惜しんで少しでも形を作ろうと頑張ったけど… 握力がかなり失われてきてます。 スコップの枝を握る力がなくなり、何度もスコップを上から落としそうになった。

 帽子から下の部分は女性陣が一生懸命作ってくれています。 最初は上から削った雪が当たらないように注意してたけど、それもだんだんと散漫になってきてました。 このままでは誰かがケガをすると思ったので、お昼休みにする事にしました。

 ほとんどテッペンで作業していたので、下りてみてビックリ! 足と顔の部分がソレっぽくなってきてる♪ しかし肝心の帽子&角の部分はまだまだ時間がかかるし、かなりの体力を消耗していた。 正直、トレーニングジムで上半身の強化に努めてきた僕だったけど…この段階で胸も肩もパンパンになっていた。 腹も減ったし喉も渇いた。 
 昼飯は屋台村で焼きそば&オムそば。 ビールのツマミに唐揚げとポテト。 缶ビールが旨かった(>。<)
 

 ほとんど作業が進まず、やや暗い感じのチームチキチキ通信を見た10番ブロックの代表の方からチェーンソー1機を提供していただいた。
96さんも△10さんもチェーンソーを使える! 
 この瞬間… 映画ロッキー2でエイドリアンがロッキーに向かって「win」と囁いたと同じパワーが出た。


 チームチキチキ通信は午前中の遅れを取り戻す勢いで作業を始めました。
もし… チェーンソーを貸してもらえなかったら、休憩がエンドレスになっていたかも知れない。

 96さんと△10さんにチェーンソーでジャンジャン切ってもらって、僕らが削ぎ落として整形していく。  それはそれは能率が上がった! しかしチェーンソーには『重い』という弱点と『燃料が必要』という2つの弱点があった。  午前中に激しく体力を消耗してる2人には結構酷な作業でした。 しかもチェーンソーを振り回す足場もなく… 不安定な脚立や強い日差しで溶けて滑りやすくなってる本体の上では更に大変。  だからしっかりとした足場が必要だったのですね。
 僕も交代してあげたかったけど、万が一にでも白い雪像を真っ赤に染め上げても報告書のネタにもならない! 次回までにはチェーンソーを学んでおきたいと痛感した。


 チェーンソー部隊の2人には苦労かけちゃったけど、やっと雪像つくりを楽しめる状態になった。 
僕も含めて、さっきまで疲労困憊だった皆の目が輝いてきた! 


 完成が危ぶまれた帽子だったけど、一気に形が出来上がってきました。 足の裏よりも狭いブロックの角に立って△10さんはチェーンソーで切り刻んでいきます。 重いチェーンソーを持ち上げて96さんは下から上に向かって削っていきます。 その後で僕らがスクレーパーやスコップで削って整形。  時々削り落ちた雪の塊りを作品から離れた場所まで捨てに行ったり… まさに一致団結してるチームチキチキ通信がそこにありました!


 僕がなにも指示しなくても皆さん自分で考えて作業を進めていきます。 一人一人が責任感を背負い、もの凄い集中力! って言うよりも…既に606は当てにならない&頼りにならない存在と化していたみたい(^0^)


 午後4時… 朝からスッゲー青空だったのに急に曇り始めてチラチラと小雪が舞い始めてきた。 気温もグンと下がってきました。
作業が許されてる時間は午前8時から午後6時までの10時間。 まだ2時間あった。 最後の最後まで手をかけてあげたかったけど、午前中の重労働が20時間戦ったと同じ疲労度として、この時間になってメンバーの顔に表れてきました。
 
 全員燃え尽きました。

 チョッパーはプチメタボになってしまったけど… これはこれでカワイイ♪
作ってる最中も観光客や家族連れ・カップルからは「あ〜! チョッパーだぁ〜!」と歓喜の声が聞こえてきた。 なによりも嬉しい声援だった!
時々お母さんが「ほら!ワンピースに出てくる犬だよ!」という間違った説明も聞こえてきたけどね。
 とにかくチビッコ達が喜んでくれるのが一番嬉しかったよ。


 午後4時過ぎにチームチキチキ通信は撤収を開始しました。
左隣の10番ブロックは昼飯にBBQを長々とやってても僕らよりも早い撤収でした。 右隣の8番ブロックは午後10時くらいまで作っていたらしい。 なにせ午後6時からは雪像がライトアップされて雪まつりが盛り上がる。 近所のスキー場(宿泊)に来てる県内外の人達や、雪まつりを毎年楽しみにしてる人達で夜は賑わいます。


 チームチキチキ通信はcafeるりはさんに戻って着替えを持って、再び会場内にある温泉に向かいました。  がっ! スッゲー混雑!
こんなに混んでる温泉は未だかつて無い。 鈴鹿サーキットの温泉でも結構混んでる時があったけど、そんなの比じゃなかった。 だけど僕は運良くシャワー室が空いたので全身を洗って頭もmyシャンプーで洗えた。 湯船は露天も室内も身動きできないほどの混みようだったのでミストサウナ室に入ったらガラガラに空いてた。 しかもサウナ機能が止まってて、単なる普通の浴槽だったので足を伸ばしてリラックスできました。
 結構温泉を満喫できたよ♪ ただね… 握力を失っていたのでタオルが絞れなくて苦労したよ。 
 ドライヤー使うのも並んだし! 来年はここらへんも考慮しなきゃね♪


 温泉の待合室で全員が合流したところで晩飯となる屋台村めぐり開始!
運転して一旦自宅に帰るメンバーには申し訳なかったけど… とにかく肉を食べながらビールが飲みたかった。 僕は迷わず缶ビールを3本買って韓国料理の屋台でプルコギという何の肉か全然分からなかったけど旨そうな肉がいっぱい刺さった串を買って食べた。 激旨っ!! しかしゆっくり食べていられません。 なぜなら既に氷点下の世界。 焼いてある肉も速攻で冷めてしまうからです。 ビールはメチャメチャ冷たいし!
 プルコギは美味しかったけど結構硬くてアゴまでもが筋肉痛になってしまった。

 仕上げは鹿児島黒豚ラーメン(^0^)  豚骨スープが冷えた体を芯から温かくしてくれる! 昨夜は味噌ラーメン食べ過ぎたのに全く学習しない606は今夜も腹痛気味になってきました。


 お腹が満たされたところで、皆で作ったチョッパーのライトアップを見に行きました。 1番ブロックから順番に見たけど、どの雪像も立派に仕上がってました。 昼間見た雪像とは別物! 夜、ライトアップされた雪像は本当に綺麗でした。
 ゆっくり歩いて8番ブロックのチームは製作時間を延長して頑張ってました。
 そしてその右側にはオレンジ色にライトアップされたチョッパーが堂々と座っていた。  この時は正直…声が出なかったよ。 大勢の人達がチョッパーの前で写真撮ったりしてくれてる! 感動して涙が出て止まりませんでした。

 やって良かった!!

と一番強く感じた瞬間でした。 何枚も何枚も写真を撮った。 皆で記念写真も撮った。  最高の夜だった。
 ずっと朝まで皆と飲んでいたかったけど… とりあえず一旦各自帰宅します。 一番遠いperoさんには大変な思いをさせてしまった。 △10さん御夫婦も疲れてるはずなのに申し訳なかったです。


 皆さんが帰られてから96さんファミリーとレーザーショーを観ました。 「どうせ光がピカピカするだけだろうな!」と思ってたけど、これが意外に凄かった。 レーザーショーだけでも凄かったのに、シンセサイザーに合わせてレーザーが発射するし、バンバン花火も打ち上がる! 僕達は最前列で観てたので目の前で花火が炸裂した時は顔が熱かったほど♪
 これね〜… マジでスッゲ〜良かったよ。 来年は皆で泊まれる宿泊場所を確保するから皆で観ようね♪

 レーザーショーの後は餅投げならぬ飴投げ。 4人で100個ぐらい拾ったよ! 投げた飴を受けるよりも地面に落ちた飴を拾うほうが効率的。 番号が書いてあって景品と交換されるのです。 これまた熱く燃えた数分間でした。
 96さんの娘さんが一番多くゲッチュしてましたよ。 僕の倍くらい持ってたなぁ♪ 誰も景品は当たらなかったけど… 夜中に騒げるのも、これまた祭りならではですね!

 その夜はcafeるりはさんで23時近くまでテレビ見ながら遊んで…爆睡しました(U。U)zzz


 ■2月17日(日曜日)■
 正午の審査発表まで何もやる事のない朝です。 雪が着雪する瞬間の音が聞こえてくるほど静かな夜だった。
 審査は午前10時半から1時間費やされるみたい。 この審査は凄くしっかりした審査で… 作ってる時も審査用紙を片手に審査員がチェックしに来るほど!
 完成された作品の評価は絶対的なモノだけど、作ってる態度や熱意も少なからず審査の対象になってるみたいでした。


 今朝も96さんにモーニングを作っていただきました。 恐縮しちゃいます♪ 2日も連続で美味しい珈琲とモーニングで…誠に幸せです。 外は昨夕からの雪が降り続いてます。 「昨日が今日みたいな天気じゃなくて良かったね〜♪」と96さんに言われた。 確かにこんなに雪が降っていたら作業能率は更に下がり、体力の消耗も更に激しかっただろう。
 しかも足元の安定も悪いだろうし、視界も悪いからチェーンソーは危険過ぎたはず。  雪焼けするほど、大汗かくほどの晴天を「作品が溶けてしまうから困る」と思い続けた自分を反省した。

 やはり『天気が良ければなんでもできる!』という606辞書に嘘はなかった。

 右手を机に置いて反省していた僕に△10嫁さんから電話が入りました。 「中日新聞(岐阜版)の3面に私達が作った作品がカラーで載ってます!」と… 僕と96さんで歓喜の叫び! これぞ正しく『果報は寝て待て!』ですね。
 早朝からバカみたいに盛り上がってるcafeるりはさんには新聞を見た近所の方からも電話がくるほどでした。 ちょっぴり優勝気分♪
新聞を取ってなかったので途中で買って来てくれるようにお願いしました。


 一旦帰宅したメンバー3人が午前10時半に到着したので、早速新聞をチェック! 新聞のド真ん中に名刺2枚分のサイズで写真が載ってました。 おおおおお…感動。 
 珈琲を飲んで盛り上がりきったところで、ぼちぼちと昼飯がてら審査発表を聞きに出発しました。


 会場に到着して我らが師匠(いろいろ教えてくれたオジさん)から一言。
「ダメだよ〜! 審査中に審査員に皆で作品をアピールしなきゃ!」と…。 え〜!!!!今頃言われても読んで字の如く『後の祭り』じゃん。


 どうせ済んじまった事だし… まずは昼飯という事で16日の朝から営業している屋台村を徘徊。 どうにも韓国料理にハマってしまった僕はキムチ炒飯とトッポギ(キムチ風雑煮)という韓国では有名な料理を食べた。 これまた学習能力の無い606は食べ過ぎてしまった。


 バイオリンコンサートが終わり、正午を少し過ぎて審査発表がメイン舞台で始まりました。
郡上市の市長さんやら年配のいろんな偉い人が審査に当たったらしい。 この時僕は大きな失敗に気がついた! 『この人達にチョッパーを理解できる人はいない!』と…。 もう少し若い人やチビッコも審査員に加えてほしかったなぁ。


 審査発表までには市長さん方々の長い『一言』があって、結構疲れました。  でも聞いてると結構楽しい。 イベントの成功に一生懸命で前向きな姿は立派だったけど、マイクを強く握って時々熱く語る瞬間に裏の黒い部分が垣間見れた。 政治的活動には全く関与したくない606だったけど…案外面白い熱弁でした。


 そしてお待ちかねの審査発表が始まりました。 時既に13時近い(>。<)
最優秀賞1組。 優秀賞3組。 そして5組の努力賞なるものが用意されてると司会の女性が伝えました。 都合9組がなんかの形で表彰される。 僕的にはチョッパーの出来具合がどのように評価されてるか全く見当がつかなかったし… 別にどう評価されようと関係なかった。
 なんとか完成したし、十分楽しめたから満足でした。 でも最優秀賞の30万円は欲しかったなぁ。


 まずは努力賞の5チームが評価の下.から順番に発表されました。
この5チームでチームチキチキ通信が呼ばれなかったら、もしかしたら最優秀賞か優秀賞! もしかしたら何も無し。
順番に呼ばれます。 1チーム… また1チームと努力賞をゲットしていきました。 せっかくだから何か貰えたら嬉しいなぁ〜♪ と思いながら願っていました。


 努力賞も残すとこ1つとなり、期待薄になってた時に『チョッパー!』と呼ばれました! (T。T)確かに努力したもん! 皆で頑張ったもん! 
あたしゃ〜サングラスはずしたかったけど感動しちゃって涙が止まらず…はずぜばぜんでじだ。

 結構前の方で聞いてたチキチキ女性陣は叫んで抱き合ってます。
それを見た司会の女性が一言…

 「こんな賞で優勝したみたいに喜んでいただけて嬉しいですよーっ!」と…。


 チキチキ皆で舞台に上がったつもりが△10さん御夫婦とperoさんと僕の4人だけ(@。@) 96さんファミリーも上がってほしかったなぁ。 皆チームチキチキ通信なんだから♪  
 賞品をたくさん頂きました。 さらに一人ずつマイクを持って『一言』言わされまして…嬉し恥ずかし感慨無量! 4人ともバラバラな事を舞台でブチ撒いてチームチキチキ通信をアピールしました。 
 さらに舞台を下りる時に実行委員会会長様から「遠方よりありがとうございました。来年も是非参加してください!」と手を差し伸べられたので「こちらこそ来年も宜しくお願いします!」と言って強く握手しました。 来年こそは(30万)くれよ!という力で強く握手しました。


 もの凄い達成感と自慢のオーラを全身から放ちながら…「俺を見ろ!俺を見てくれ!」と肩で風を切りながら観客側に戻り、「次はいよいよ最優秀賞と優秀賞の発表だな。」とプチふんぞり返って発表を待ちました。
ところが!
「では、ここから第7位の発表です♪」と司会の女性が… おいおい! じゃあうちらは8位かい??
『こんな賞』の意味が数分後に分かるとは、なんて分かり易い審査発表やねん(>。<)@  たっぷり放ったオーラがみっともないyo~

 ここから最優秀賞のチームが発表されるまで、ちびまる子ちゃん得意の『うわの空』の顔で時が過ぎました。


 賞金30万円は残念ながら獲得ならず。(当たり前)  しかしソレ以上に得たモノはあったチームチキチキ通信。
他のチームも一致団結して最後まで頑張ったからエールを送りたい。 まぁエールを送られる方が多いと思うけど…。 見ず知らずの大勢の人達と仲良くなれたのも凄く嬉しい! お金では買えないたくさんの出会いがありました。 素敵なキャラの人とも出会えたし♪


 今年は上の画像に写ってる8人で挑戦しました。 皆さん本当にお疲れさまでした。 いろいろ努力したつもりでしたが至らない点が多くて申し訳ありません。 
 96さんファミリーには3日間お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。 申し込み・情報・準備と…本当にありがとうございました。 当初の思惑通りで…努力賞の賞品の一部しか置いて帰れませんでした。 
そんなチームチキチキ通信ですが来年も参加します。 参加してくださるチキチキメンバーを既に募っておりますよ! 来年の元旦早々に申し込みますので、それまでに参加表明くださいね。


 高鷲観光協会の皆様ありがとうございました。
 各方面からの応援メッセージもありがとうございました。
 


いつか溶けて消えて無くなっちゃうけど…
みんなで心を込めて一生懸命作った君の事は忘れないよ。
by606