『事』の始まりは何年前だったか… 瀬戸大橋を606号(当時は旧606号)で渡りたいと思い、計画を立てた。 一泊にしようか? 日帰りにしようか? いつ行こうか? と悩んでるうちに面倒になり、その個人的企画は自然消滅しつつも心のどこかで小さく残っていました。 
 曲りなりにもレース活動をしてて、レースが個人的な大きな事と思い続けてたつい最近。 そのレース活動に終止符を打ったこの数年、一年に一度は何か大きな事をやりたいと常に思っていました。  昨年は和歌山の三発屋さんの家まで606号で行き… かいせいさん御夫婦とも仲良く合流して楽しんだ。 「今年は何処で何をしようか?」 漫画家の田中むねよしさんのHPと相互リンクを貼らせていただいた記念に、そのHPで有名なラーメン&カレー屋さんに行こうと思ったのは4月か5月の事。 場所はもちろん北九州。 九州は飛行機で何百年も前に行ったけど、自力で行った事は無かったので『北九州単独ツーリング』を決意! 

 当初の予定では金曜の夜遅くに家を出て、名神高速と中国道を使って北九州に明け方到着。 その日の昼飯を食べて、軽く流して何処かで仮眠して速攻で同じ道で帰路につくという計画でした。 この企画をチキチキBBSにて発表したところ、北九州の方から協力してくださるという書き込みがあり、凄く嬉しかった。 また8月頃に書き込みがあるだろうと勝手に思っていたら音信不通になってしまい、メールアドレスも知らなかったので連絡ができなかった。 もう少しコマメにBBSにこの企画を載せるべきだったと後悔しました。 彼には申し訳なかったと反省してます。

 仕事上、8月中旬(お盆過ぎ)から9月下旬までが一番暇な時期なので、9月2〜4日と9月16〜18日の二つで日程を組んだ。 9月は台風シーズンなのですべてはタイミングに委ねられるワケだけど、そうそう3日も連続で晴れることなんて無いから、とりあえず行程三日のうち最初の二日が降らなければ実行と決めていました。  

 ここまで計画ができて… 独りで行くのはイイけど、ラーメン食べて帰ってくるだけでは、やっぱり面白くないし意味が無いと思い、ちょくちょく覗いていたHP(OCEAN’S GARAGEさん)のoceanさんにメールしてみた。 oceanさんは大分の方で凄く活動的でHPの更新もコマメだったので随分前から気になってた存在でした。 ただ…その随分前からHPに足跡を残してたりしてれば話も早かったと思うのだけど、突然メールした時は正直言って恐縮しまくりでした。 翌日になっても返事がこないから「やっぱりヤメとけば良かった」と後悔してたら2日か3日後に返事が届きました。 返事の内容はとても初メールの返事とは思えないような嬉しい内容で感激! この時点で『おら北九州さ行くだ』から『おら別府さ行くだ』に変更すると同時に、自分の中で密かに盛り上がってました。

 8月26日、台風一過で9月2〜4日は晴天! 実行と判断!

 oceanさんは最初から「自分の家に泊まればイイよ」と言ってくださったけど、やっぱり初対面の御家族の家にいきなり泊まるのも…と思い、別府市内でセブンを安心して停めておける駐車場のあるビジネスホテルを探しました。 屋根付or屋内駐車場のあるビジネスホテルをPC(ネット)で検索。 その頃は既に8月30日。 9月2日の空き部屋は凄く薄かった。 それでも数軒あったので一軒一軒電話してみる。 しかし何処のホテルも23時以降のチェックインを嫌がる。 僕は何時に出れるか分からなかったので、その時点では12時間かかると予想して午前2時までには着くように行くとしか言えず…全てお断わり。 断られる理由は「来ないかも知れないから」だと言われた。 そう言われても「絶対行くから!」と頼み込むと何とかOKが出たものの… 次は606号でアウト。 ホテル側が自由に移動できないマニアックな車はお断わりでした。 万事休す! 「何処のホテルも取れませんでした」とoceanさんに連絡したら「是非うちに泊まって♪」との返事で… 甘えちゃう事に決定しました。

 なんども天気予報が変るけど、金曜&土曜の晴れマークだけは消える事なく9月2日の朝を迎えた。 できるだけ早く出発したかったので配達で手を抜いて品物が集まらないようにしたのに、嘘みたいに仕事が集まった。 だけど夜遅くまで働いた甲斐があって午前9時には仕事が片付き、午前9時半に606号で出発しました。

 天候は晴れ! 風力ゼロ! 606号絶好調!
 チキチ基地を出る前にSTACKのメーターで走行距離を確認。 『9298km』 油圧・水温・油温すべて問題無し! いざ九州! いざ別府! と勢い勇んで出発したのに10分走った知立バイパスで渋滞。 通勤ラッシュは既に終ってる時間なのに…気分台無し。 長い渋滞にハマっていても昔悩んだ水温計は85度前後で安定。 そのうちに道は開けたのでキャブの雄叫びとマイクザパイプ集合管からのエグゾーストサウンドをフルボリュームで楽しむ。 まだヘルメットを被ってなかったから、そのサウンドはダイレクトだった。
 名古屋高速の料金所をETCで通過しつつも左端に606号を止めてゴーグル&帽子からヘルメットに変更。 ここらか別府インターまではニューアイテムのヘルメットが活躍する。 ヘルメットを被ると安全だし疲れない。 ただ、先ほどまでのキャブの音も排気音も少し篭り気味なのが玉にキズ。 まぁこの篭った音もサーキットで聞きなれた音なので、それはそれで興奮する。

 名古屋高速一宮線から名神高速に入る。 この方法は初めてだったので心配したけど、デタラメなほど普通だった。 ここからは巡航速度120km/hにて進む。 あまり飛ばし過ぎると疲れちゃうし、捕まりでもしたら気分悪いし余計に時間かかっちゃうもんね。 マラソンみたいにマイペースが大事。 それに昼間で明るいから景色も楽しめる。 そんな余裕を持って走りました。

 高速道路は空き空きに空いてて楽勝モード。 大津SAまで一気に走破しました。 ここ大津SAに到着したのはキッカリ正午。 それほど空腹感は無かったけど606号がプチ空腹状態だったので給油。 給油中も休憩中も606号は人気者で、狭い駐車場で人の輪ができてました。 僕はカメラとか荷物が心配だったし、暑かったので606号に乗り込んで先を急ぎました。

 大阪吹田ジャンクションからは中国自動車道に入り、鬼のように進みました。 ここまでマイペースを誓っていた606号だったけど、昔から一度やってみたかった事を実現するチャンスが到来! それは『西宮名塩の心臓破りの坂をセブンで一気に駆け上がる』という幼稚でもあり無駄でもある無意味な事をする。 これまで何度も乗用車や606号をトレーラーで引っ張ってでしか走った事がなく… 通るたびにそう思っていたからこのチャンスはしっかり使う事にしました。  
 5速120km/hで巡航中、3速にシフトダウンして全開! どえらい勢いで駆け上がる♪ 一番右の車線の車を退けながら606号は一気に頂上。 僕は昇天。 あ〜快感! 再び冷静モードに切り替えて進みました。

 中国自動車道は周りが山&山&山なので景色が単調。 大津・京都・大阪などは建物に変化があるから退屈しない。 特に京都インターの周りは一宮インターに匹敵するほどラブホが多く建ち並び…夜一人で通過すると非常にストレスが溜まる箇所でもある。(関係無いか?) 
 本当に山ばっかりで面白くないから速い乗用車の後を追って遊んだ。 抜いたり抜かれたりして退屈から解放されかけた時、路肩に覆面パトカーが止まっていて口から心臓が飛び出そうになり…試合終了。 捕まえたばかりだったみたいで、セーフでした。 

 午後3時過ぎに広島に入りました。 まだまだ日差しが強く、腕が日焼けによりヒリヒリし始めてきた。 
 
 それから2時間くらい走り続けて、北九州まで160km付近にある玖珂SAにて休憩。 エンジンの調子を見るべくエンジンを止めないでヘルメットを脱いでガッカリ。 以前キャブのファンネルがガタガタで、走ると振動でシャリシャリと嫌な音がするという理由で、ファンネルを針金で縛りつけて不協和音が出ないようにしてきたのに… 凄い音でシャリシャリ発してる。 工具一式持って来てたし、今回初めて針金君を工具袋に仲間入りさせた成果が発揮された。 
 早速ボンネットを開け… 開けようとしたら熱い! とりあえず軍手を装着してボンネットを外してエアフィルターを外す。 針金君はしっかり切れていた。 一応、合掌して死んだ針金君を取り除き、新人の針金君を巻きつけて頑張ってもらう事にしました。 今回の針金君はワイルド&タフなボディーでっせ! そう簡単にはイキ(逝き)ません。

 シャリシャリ音も消えて元気に出発。 見えないところで針金君が頑張ってると思うと感謝せずにはいられない。 九州上陸まであと160km! 次第に陽も傾き始めてきた。 正直、この玖珂SAが九州まで160kmもあるとは思わなかった。 すでに山口県下関市に限りなく近い所まで来てると想像して、oceanさんが仕事で帰って来る前に到着しちゃったらどうしよう? などと余裕ぶっこいてました。 少し焦り始めたけど安全運転に徹して走り続けたよ。 そうこう走ってるうちに山口県の看板が見えてテンション上がってきました。 ここからは道が複雑なので案内標識を頼りに慎重に進み続け… ついに下関! そう! 本州と九州を繋ぐ関門橋が突然目の前に現れました!  
 関門橋… 画像で見ても分かると思いますが、片側三車線。 いろんな橋を渡ったけど、この橋を渡る瞬間は涙が出ました。 本州と九州のド真ん中を今606号で走ってる自分。 壮大な景色。 時間は午後6時20分くらいで、かろうじてまだ陽のあるうちに通過できたので写真に収める事ができました。 嬉しくて何枚も撮ったけど、この一枚しか上手く撮れなかった。 

 それから10分ぐらい走って最大の分岐点である小倉東ICを降りて小倉市内に入りました。 時間的には最悪だった。 帰宅ラッシュの終盤だったみたいで、すぐに渋滞にハマる。 地図によると直ぐに行橋バイパスがあり⇒椎田道路という有料道路⇒中津バイパス⇒宇佐別府道路から大分自動車道に入ると思ったのでヘルメット被りっぱなし。 ところが小倉東を降りてどれだけ進んでも普通の道。 普通の道でヘルメットを被る事に抵抗のある606は直ぐにでも脱ぎたかったけど、脱げない理由があった。 それはメガネ! ヘルメットを脱いだら帽子とゴーグルが基本の僕は透明メガネで606号を運転するのにも抵抗があった。 じゃあゴーグルを装着すれば問題無いかと思えば、これが大問題なんです。 ゴーグルでは案内標識が見えないんです。 知らない、初めての街でこれは致命的なので泣く泣くヘルメットを被り続けました。 ここで一言!「国道10号線…暗いよっ!」 長いトンネルを走り続けてる感じで宇佐別府道路まで来て一安心でした♪

 宇佐別府道路から大分自動車道・別府ICまではスイスイと走り、別府IC手前のSAからoceanさんに電話をしました。 「別府ICから家までは7〜8分だから家の外で待ってま〜す」との事。 ようやく辿り着いた喜びと、ここまで珍しく道に迷わなかった喜びに浸りながら別府ICを降りました。 右に行って急カーブを越えた3つ目の信号を左折! と地図を鵜呑みにした事が裏目に出た。 おもいっきり間違えた。 どんどんダートコースになる。 しかし自分では正しいと思って突き進む! どう考えても違うと判断した時には温泉街を抜けていたような…? 再び元の大通りまで戻ったけど行き過ぎたのかどうかすら分からないから地図を広げて確かめたら、全然足りない。 半分くらいの所を左折した事に気がつき大通りを走り始める。 今度こそ左折しなければいけない交差点を通過して…どうにも分からず歩いてる女性に尋ねたら親切に案内してくださり、泣きべそかきながら走ってるとoceanさんが手を振って待っててくれました。

 oceanさんの家のカーポートに606号を駐車して一件落着! 出迎えてくださった奥さんとoceanさんに凄く緊張&恐縮して挨拶しました。 それほど疲れてはなかったけど…ラスト30分でボロボロだったので何喋ったか覚えてない状態。 恥ずかしい! 

 とりあえず別府の温泉街が一望できるお風呂に案内されて汗とプチ疲れを流しました。 セブン乗りにとっては至福の時だねぇ! さっぱりスッキリしてoceanさん部屋で業務用本格的ビアサーバーから注がれた生ビールで乾杯して一気飲み。 これまたセブン乗りにとっては至福の味だねぇ! エアコンの効いた車ではこの両方の至福の瞬間は堪能できないと痛感。 たくさん飲んじゃった。 料理も美味しくて感動♪ ゆっくり朝までoceanさんと話しながら飲んでいたい気分。 いろんな事を話したなぁ〜! ジョッキで4〜5杯飲んだところで明日の予習に入りました。 飲んだ後だったけど、しっかり聞かなきゃと頑張ったけど…フラフラで分からなかったのが正直。 ただ、明日は凄い走るじゃん! と思った事だけは忘れません。 凄く真剣に考えてくれてたので迷惑かけないようにする事だけ肝に命じて… 午前0時過ぎに消灯しました。 あんなに気持ち良く寝付けたのも何年ぶりかな?   


 明日は晴れてくださいと願いつつ…爆睡した606でした。 つづく…
おら別府さ行くだ (一気に行きます編)