77 新兵配属 其の参 |
映画を観て、ゲーセン行って、レコード屋さんに行って餃子の王将でカニタマとチャーシュー麺を食べて神姫バスに揺られて駐屯地まで帰りました。 自衛隊での二度目の挫折。 外出だって部屋で一番下っ端だったら夜の掃除に間に合うようにスッゲー早く帰って来なければならない。(遅くまで遊べる所ないし…、遅くまで遊ぶ術を知らなかった) 外出したら土産として部屋に何か食べ物を買って来るのが暗黙のルールだったけど、何も買って来る気になんてなれない。 だいたい姫路駅から駐屯地に向かうバスの中は夕方を過ぎれば自衛官ばっか! 馬鹿の一つ覚えで、どの隊員も決まって餃子を買ってくるし… 馬鹿の一つ覚えで王将で晩飯を済ませる隊員ばかりだからバスの中はスッゲー臭い。 バスから降りたら今度は肥溜めの臭い。 もううんざりだった! そのまま姫路駅から新幹線に乗って家に帰れば楽だけど… 部屋には大事なモノがたくさんある。 翌週までに駐屯地内にある銀行に預けてある貯金を全額引き出さなければならない。 当時、年利7%の定額貯金は今では夢のような金利だよね! 100万円を貯金しておけば翌年には107万円になってるんだもん♪ いろいろ考えながらバス停から歩いて駐屯地に戻りました。 演習中も考えた事… 辞めるとなったら無敵です。 部屋に戻って黙々と着替えてゆっくりしたくても寛げません。 使ったら自分で洗えばイイのに… バケツの中はコーヒーカップが山積みになっています。 涼しくなってもゴキブリが現れるし…。 コーヒーカップを洗ってから午後9時前の掃除が始まります。 掃除が終わったら部屋に居る隊員にお茶出し。 さっき洗ったコップをまた洗いに行かなければならない。 洗いに行けば8月隊員も洗面所でコップを洗っている。 「ご苦労さまです!」と挨拶されても… やっている事は同じじゃんね。 無気力でコップを片付けたら消灯までにテレビの周りを片付けなければなりません。 どーしてこんなにも散らかせるのか不思議だっ! わざとやっているとしか思えない。 消灯前に煙缶(灰皿)を片付けたいのに、いつまでも吸ってやがるし… 洗ったコップで気違いみたいにプロテイン飲んでいる筋肉馬鹿もいる。 一つ一つがストレスなる。 消灯になっても酒飲んでるし…。 ウォークマンのヘッドホンから漏れるチャカチャカ音は煩いし…。 何よりもまた明日から新兵生活が一週間始まると思っただけで眠れなかった。 翌日の課業が終了して晩飯を食べながら気の合う同期生と話をした。 江藤の事も踏まえて辞める旨を話した。 「じゃあ!辞める前に宴会しよーぜ! 金曜日ぐらいどう?」と同期生が元気つけてくれたので、辞める気持ちに勢いがつきました。 晩飯から帰ったら一通の手紙がベットの上に置いてあった。 「よぅ! また彼女から手紙が届いてるぞ。」と… そういえば新兵が入ってこなかった事を手紙に書いて送ったわ。 僕は手紙が届くと直ぐに返事を書いて直ぐにポストに投函していた。 でも返事が来るのは2週間ぐらい後だった。 だからいつも忘れた頃に届いてました。 『きっとまたイイ事があるよ!』 いつも核心を突く内容です。 いろいろ書いてあったけど、たった一行で元気になれたあの頃。 『負けずに頑張ります!』と書いて直ぐにポストに投函。 今ならメールを使って数秒でやり取りできるけど、あの時代は時間がかかったなぁ。 アナログだったけど、そこが素晴らしかったのかも知れない。 それからは馬鹿になって働いた。 新兵 同期 上官 なんにも考えずに自分のやるべき事をしっかりとやり続けました。 数日後。 「今日、終わったらクラブ(駐屯地内の居酒屋)に集合な! 皆呼んであるけど江藤は呼ばんどいたで。」と、同期生に声をかけられた。 「なんかあるの?」と尋ねたら… 「おまえの送別会やろっ!!」と怒鳴られたけど… 僕、辞めへんし♪ また同じ事をやっちまった(>。<); by606 |