22 射撃の検閲 其の壱
 検閲の前日は検閲に準じた射撃練習でした。
実際に射撃する屋外射場。 土手の上から300メートル離れた的を撃つ段取りを行った。
初めて行った実弾射撃場! 日本にこんな施設があったなんて知らなかった! 

 まずは64式自動小銃の銃脚を広げてキレイに並べる。 僕の銃番号は何の因果か77番でした♪ 606のお気に入り♪ 
その後一連の手順の説明を受け、実際に射場で空撃ちして練習。 この時僕は恐ろしい事に気がついた。 606は視力が弱く…300メートル先の標的(ポスターサイズ)がボケて見えない!!  シャア専用ザク(ガンダムの敵)の顔みたいな標的に得点が書いてあるのだけど、ただの黒い点にしか見えない!!

 一連の動作を済ませて、銃口を上に向けながら射場の土手を下りるのですが… 射撃練習に慣れた数名の隊員は気が緩んで銃口を上以外に向けて怒叱られてます。 
たった10数分の射撃の練習で半日の仕事が終わりです(^-^) 一度に射撃できる人数は7名程度だったかな? 他の隊員は順番がくるまでと終わってからはタバコ吸いながらウダウダとお喋りタイムでした。 こそこそっと写真撮って遊んだりしてね♪

 翌朝は何故か早い集合。 今思えば想像以上に実弾射撃の本番は時間がかかるという事が理由でした。
8時の朝礼は射撃場で行われました。 午前8時の時報で、数キロ離れた駐屯地(国旗)に向かって敬礼。 ちょっとアホくさかった。

 そして昨日の手順どおりに射撃が行われるのですが… 正直、昨日までのご気楽ムードはありません。 新隊員はもちろん、班付・班長・区隊付・区隊長・教育隊長に至る全ての隊員がビビリモードです。

 1区隊は空砲射撃の後で実弾射撃。 2区隊は銃の見張り。 3区隊は『監的』と言って、的を下げて得点を計算。そして弾が貫通した穴に同色の紙を貼って再び浮上させる係りをやります。 これは1区隊の射撃が終わったら1区隊が監的を行う感じで順番で行う手はずです。 うちら2区隊は3区隊と2区隊の小銃を監視しながらボケ〜っとしてました。

 そのうちにパンパンと空砲が聞こえました。 スッゲー大きな音じゃん! こんな音を耳元で聞いたら鼓膜が破れるのでは? と心配していたら班長が歩いて来て… 「ティッシュを丸めて唾つけて耳に入れれば耳栓になるから、時間のあるうちに作っておけ。」と教えてくれました。
空砲が止んだところで、銃口を上に向けながら行進してくる1区隊。 全隊員が夢精でもしたような顔してました。

 そして1区隊から実弾射撃が始まったのですが… 長い。 全然終わらない。 それもそのはず今回の実弾射撃で一人が撃つ弾の数は、正確には忘れたけど40発ぐらい。 当時1発200円だったそうな。
パンパンと順調に撃てば流れも速いのだけど… 弾が詰まったり、1発1発の射撃が長かったりで…スッゲー時間がかかります。

 そして1区隊の射撃が終わり、2区隊の順番がきました。

 予告染みた空砲での練習。 各隊員に3発ずつ空砲(薬莢のみ)が与えられました。 それと同時に薬莢(やっきょう)が飛んで紛失しないようにカバーを装着。 空砲を弾倉に詰めて64式自動小銃に装着。 ズシリと重くなった。
 1発目を装填してとりあえず狙いを定めて引き金を落とす。 「ライス!」 と発すると楽しいけど… もちろん「パン!」と発しました。
耳栓あって良かったです(>。<) 耳栓してても驚いたもん。 しかも肩に衝撃喰らったし!
 「空砲でも空き缶ぐらい穴を開けられる! 至近距離からなら殺傷能力がある!」とも教えられた。

 銃口を上に向けて三区隊の前を夢精した顔で行進して射撃場に入りました。

 射場に入って銃口を的に向けて置き… 僕はメガネを装着。 「OH!的が見える!」 これで安心です。 
射場幹部の説明を受けながら実弾を受け取りました。 初めて見る7.62mmNATO弾! カッコイイ♪ 綺麗だ! 全部欲しい! 空砲とは違ってズシリと重い。 色は弾頭だけが濃い真鍮。 まるでチンチンみたい♪

 とりあえず三点監査を3回行って照準を合わせます。 その為に9発弾倉に詰めるように命じられる。 弾倉に9発詰めた後はキチっと揃える為に自分の鉄パチでコンコンと叩く。 これ…やってる自分が凄くカッコ良く感じてしまう瞬間なの。
 
 『寝撃ちの姿勢をとれ!』の号令を大声で復唱して射場に腹ばいになる。 メガネ越しから覗く的は素晴らしくハッキリと見えた。 がっ! 今度はメガネのおかげで照準を合わせる照星と照門がボケてしまってる。 遠くはハッキリ見えるけど…目の前がボケてる。 狙えない。 困った。 とりあえず的が見えなきゃ始まらないので、ボケた照準器で的のド真ん中を狙って撃った!! 606初めての実弾射撃!!
 落ち着いて1発1発息を殺してゆっくりゆっくり引き金を落として3発撃ちました。

 監的作業の間は隣で手伝ってくれてる上官さんとお喋りしてました。 1〜2分で下がってた的が一斉に浮上しました。
黒い部分の得点圏の的には白い●印が… 得点圏じゃない白ぽい部分には○印が貼られて命中した部分を教えてくれます。 ド真ん中1つの●印でも3発同じ場所の場合は監的から「何番3発同一弾痕!」と報告が入る。 有線電話で情報は撃つ側にバンバン入ってきました。

 そして僕の結果は…

 


寝撃ちの練習