16 基本教練 |
【基本教練】 簡単に言えば自衛隊の基本。 敬礼や行進などなど。 『敬礼』一つにしてもシチュエーションの違いで敬礼の仕方は違ってきます。 皆さんがよくマネをする右手をコメカミ付近にもってくる敬礼は帽子を被ってる時に限っての敬礼。 これは執拗に教えられました。 毎朝、敬礼の練習。 その時に腕の角度や手の甲の角度。 姿勢はもちろん目線の高さまで教育されました。 立派にできるようになったら一人前! と…思ってましたが、教育期間を終わって中隊に入ったら自分の好きな(カッコイイと思える)敬礼をするのが一人前だった。 メチャメチャいい加減な敬礼になったけど、さり気なく自然でカッコイイ敬礼を自分で作り上げました。 さすがに雲の上の階級上官に対してはキチンとした敬礼をしてましたがね♪ それほど階級が変わらない上官に対してはナメた敬礼だった。 そのうちに自分の中隊以外の上官には敬礼しなくなりました。 でも幹部以上には退職するまではキチンと敬礼しましたよ。 帽子(制帽・作業帽・ヘルメット)を被ってない時は『お辞儀』(オジギ)しての敬礼となります。 この敬礼には30度の敬礼と45度の敬礼があります。 30度・45度は腰を曲げて頭の高さ(角度)の事です。 この違いもシチュエーションの違いで変わってきます。 普通に行き交う場合は30度。 スッゲー上官に対しては45度。 まぁ滅多に45度の敬礼はありません。 30度・45度の敬礼も結構難しかったです。 何度も何度も練習させられました。 自分では角度なんて分からないもんね! 鏡で練習したりして身に着けました。 30度の敬礼 45度の敬礼 どちらも全員がビシッと揃うとそれはそれは美しい。 一番大変だったのが銃を持っての敬礼。 銃の底(銃底)を地面につけて立ってる時の敬礼。 肩に背負ってる時の敬礼。 銃を持って行進してる時の敬礼。 国旗に対してなど、重要な意味での敬礼などがあります。 銃底がついてる時の敬礼は、銃は基本的に右側に置いたり持ったりするので、左手のひらを敬礼の形で銃口に持ってくるだけの簡単なもの。 背負ってる時は右手が塞がってので、銃のベルトを左手に持ち替えて右手で普通の敬礼。 これはややこしかったけど、メチャメチャ素敵だった。 自分で自分に痺れちゃったもん♪ 行進してる時の敬礼は、上の二つの応用編です。 基本的には右肩に担いで、左手を振って行進するので左手のひらを添える敬礼でした。 肩にベルトを通して行進する時は後者の敬礼です。 ただ… 銃を持っての敬礼の訓練は腕力がないと大変です。 何度も何度も繰り返しやらされて… 静止状態で長時間維持しなければならないので大変でした。 銃を倒したり落としたりしたら、その場で腕立て伏せ。 「小銃さんゴメンなさい! 小銃さんゴメンなさい!」と大声で謝りながら腕立て伏せです。 銃を持たない行進は楽でした。 学芸会みたいな感じで、班長に言われる通りに右向け右してればOK! 最初は『前へ進め!』で始まりますが… 応用編になってくると『右向け前へ進め!』『左向け前へ進め!』と、鼻っからややこしい号令も登場してきます。 『縦隊前へ進め』 一列縦隊での行進。 『横隊前へ進め』 一列横隊での行進。 『回れ進め』 180度反転しての行進。 『縦隊右へ進め』 『横隊左へ進め』などなど… 号令かける方もかけられる方も頭で判断してから行動しなければなりません。 もちろん号令も『縦隊右へ~~~~進め!』と考える時間を与えると同時に、タイミングも与えられます。 これで銃を担いでの行進の練習になると… 何倍も疲れます。 重い銃は肩に食い込んできます。 歩き回るから疲労は何倍にもなりますね。 疲れてくると判断力も落ちるし…! これが自衛隊教育期間の基本教練です。 しかし!! 銃を持っての駆け足移動の恐ろしさを書かずして終われないのがチキチキ自衛隊白書!! なにかにつけて駆け足移動が多かった教育期間。 『3歩以上は駆け足!』と何かある度に言われました。 半長靴に慣れてなかった頃はそれだけで疲れた。 半長靴に慣れた頃には銃を与えられた。 銃をを持っての駆け足行進は『拷問』『虐待』と紙一重の訓練。 銃口付近を左手で握り、右手で銃尾を持つ。 銃は体の前で斜め45度に持つので左手が上で右手が下。 重い小銃を持っての長距離駆け足移動は日常茶飯事。 4.4kgの64式小銃は最初のうちは4.4kgです。 しかしだんだん重くなり、腕も上がらなくなります。 おまけに軍隊名物の掛け声も出さなければなりません。 4.4kgが6kgに感じ… 8kg… 10kg… 20kgと感じるようになります。 小銃は胸の位置が基本ですが、ドンドン下がってヘソの辺りまで落ちます。 声も出なくなったのを班長が見て『回れ進め!』という号令をかけます。 『回れ進め!』は上記でもあるように180度反転する行進。 つまり来た道を引き返すのです! 『回れ進め』の繰り返しで、やっと訓練場に着いた時には全隊員ボロボロで、腕はパンパンですわ! 一番嫌いな号令… それは『回れ進め!』でした。 しかし、1年後に自分が多用するだなんて思ってもいなかった606。 上半身の鍛錬にはなるけど… 職業病みたいな感じで、今でも右肩上がりの姿勢の僕。 それは64式自動小銃のせいです。 by606 |