■2月12日 (金曜日) はれ■

 最初は風車を作る予定でした。  角材と針金で風車の羽の骨組みを作って、角材と針金に白い毛糸を巻きつけて雪が着き易くして、当日に粉雪を貼り付けて風車の羽の出来上がり!
 あとは風車小屋を設計図通りに削って上手く羽を取り付けたら完成!  風車小屋は削る部分が少ない上に窓枠などを立体的にすれば完成度は抜群だと思っていました。


 秋の繁忙期が終わった頃から、暇さえあれば羽作りに専念。  好きな事をやってる時は楽しいものでして…  出来上がった時の事を想像してもの凄くワクワクして羽を作っていました。
 ある意味で自己満足の世界だったのかな?
 ただただワイワイやりたかった。  笑顔が見たい!  それが叶えられるのなら…  それが僕の原動力でした。


 羽の骨組みが完成して、あとは大量に買ってあった白い毛糸を巻きつければ終了という段階。  毛糸を巻きつけるのは一番楽しそうな作業だったので、完成に向けてフルブーストで作業を始めようとした時に1本の電話が…

 「今年は雪以外は使っちゃダメだってさ! 針金とか骨組みを使ったら失格になるそうだよ!」と、いろいろお世話になっている96さんから卒倒しそうな情報が伝えられました。
 せっかくここまで作ったのに(>。<)
 一瞬で火が消えました。


 だけど…  どうしてもやりたい!  

 だけど…  何を作ったらいいのか??

 老若男女問わず知れたモノ。  それを探すのは大変でした。
 たまたま缶コーヒーを買う為に自販機の前に立った時…  赤地に黒いシルエットだけのゴジラのポスターを見つけました。  「ゴジラでいけるかも!」  安易でした。


 早速フィギュアをネットで検索。  イメージ通りのフィギュアはなかなかありませんでした。  たまたまヤフオクで理想通りのフィギュアがあったけど、ヤフオクなんてやった事がありません。  ムッシュさんに相談したら、僕が落札してあげるとの事。  残り6時間の現時点で2000円ぐらいだったので、予算を4000円くらいでお願いしてましたが…  落札時には8000円を超える値段になってしまったので見送りました。
 そんなフィギュアでしたが、探せばあるものですね。  岐阜の実家に格納されていました。


 そのものズバリは凄く難しいと判断。  でも今回はチェーンソーが2機と有刺鉄線をノコギリ代わりに作業が捗るから細かい部分まで楽勝で作れると…負けて兜の緒を緩めるような事をしてしまった。

 さらに2年前には縫いぐるみを細かく分析して1cm単位であらゆる角度から設計図を描いたのに、実際には設計図は不要で、途中からは全てアドリブなるという事を学んでいたので細かい設計図は一切作りませんでした。


 そして一週間前に行った打ち合わせでは、駄目だしの連打。  でもこれは嬉しかったです。  全て自分一人で考えて進めてきた事。  「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」  「これじゃあ潰れるよ!」  などなど…
 帰ってからは全て踏まえて練り直し。  なんとなく不安に駆られたのも事実。  そんな不安もチェーンソー2機が振り払ってくれると信じて…  当日まで体調管理に努めました。


 
 今年は例年に無い大雪。  ところが2〜3日前からまさかの大雨になり、雪のブロックはどうなるのか心配でした。
さらに当日の天気も雨が降ったら最悪だし…  吹雪だったら作業も危険なのでツーリング並みに…  否。  延期ができない市を上げての一大イベントだったのでツーリング以上に天気が気がかりでしたよ。


 金曜日は仕事を残して、96さんが手配してくださった会場近くの貸し別荘に向かいました。  西尾からでは深夜出発を余儀なくされるので、前泊する作戦です。
 雪道に備えてレンタカー屋さんでスキー仕様を48時間借りたのに、雪道は貸し別荘の手前の道から別荘までの2mぐらいだけ。  これならノーマルタイヤの配達号でも来れたなぁ。  でもこの僅か2mが入れなかったはず!  まぁ『安心』を得たと思えばレンタカー代も報われますね。


 途中で雪まつり会場の偵察をしましたが…  雪像を作るための3m×3m×3mの立方体はテカテカに光っています。  前日の雨で表面が解けて今は氷と化していました。  2年前も雪ではなくて氷だと思ったこの立方体。  今回は2年前と比べたら『石』です。  だけど今回はチェーンソー2機があるから問題なし!と余裕で貸し別荘に向かいました。


 貸し別荘は新築で初めて入るような綺麗な内外装。  鼻の壊れた僕でさえ、ボンドと木の香りにWで酔い痴れましたよ。  しかもオーナーさんは石油ファンヒーターを2つ使って部屋を温めておいてくれるという粋な計らいに感動。
 仕事で疲れて…  大よそ4時間の運転で、到着時はヘロヘロ。  綺麗な貸し別荘を満喫する気力も無かったので、さっさと風呂を沸かせて午後10時には寝ちゃいました。


 翌朝(雪像つくり当日)は午前5時に起床。  慣れない枕で熟睡したようなしてないような??


 cafeるりはさんで△10さんご夫婦と合流して、モーニングをいただいて直ぐに96さんご家族と雪まつり会場に向かいました。
 午前8時から受付&作業開始。  受付で抽選の結果8番ブロックをゲット。  位置的にもグッドなブロックでした。  即!工具類を搬入して大まかなマーキングを開始。  早いチームは既にチェーンソーが唸りを上げていました。

 開始20分後に渋滞で遅れたチキンカツさんご夫婦が合流。


 まずはゴジラを作り易いように両サイドの雪を有刺鉄線を使って二人で切り刻みました。  周りのチームから「スッゲー!」という声と視線を浴びて作業に力が入ります。  思った以上に重労働だったけど、思った以上にサクサク切れたので休む間もなく作業に専念しちゃいました。  たった30分で両サイドに縦線の切れ込みを入れる事ができました。  スッゲー感動したけど…  既に大胸筋と腕がパンパン!  調子に乗って飛ばし過ぎました。  大汗かいたし!


 それから邪魔な両サイドの雪をチェーンソーで切り刻んで、スクレーパーで除去。  一気に基本形が完成!  と…  喜んだのも束の間。  両サイドを削り落とした事によって肝心の足場が無くなってしまうという事態に陥ってしまった。  しかも残った基本形が凄く貧弱なモノしか残っていない。
 開始早々全員が『失敗』を痛感した。
 これは2年前にチェーンソーが無くて失敗を痛感した以上の痛みだった。


 さらに天気が邪魔をする。
 天気予報では一日中曇り空だと言っていたのに、太陽がガンガン照り始めた。  「これじゃあ細かい部分は溶けて落ちちゃうよ!」と…。  一旦作業を中止して作戦会議。  「太く残すように削っていこう!」  やはり2年前と同じようにアドリブで作業を進めるしか術はなかった。


 午後からは缶ビールを飲みながら、余裕で作業をする予定だったのに昼飯を食べる暇さえなくなった。  思い通りに作業が進まない。  まさに出口の見えないトンネルに入った状態。
 諦めちゃイケナイ事ぐらいは分かっていたけど…  本音は投げ出したかった。


 午後12時半ぐらいに休憩を兼ねて一斉に屋台で昼飯を食べました。  空腹と喉の渇きで、ラーメンは味よりも熱さだけしか味わえない。  焼きそばも食べたけど喉に張り付くばかり。
 2年前はビールを飲みながらゆっくり食べた記憶がある。  今年はもっと余裕があったはず。  全て僕の責任だ。
 昼飯を食べたら少しゆっくりしたかったけど…時間が惜しい!  とにかく少しでもゴジラに近づけなけれ晩飯にも影響する。  それだけは避けたい!  皆が楽しみにしている打ち上げなのに…。  休む間もなく少しでも雪を削ったり片付けたりした。


 作業は午後6時まで。  計画では午後4時に完成して速攻で片付けて、速攻で温泉に行って、速攻で帰って、速攻で会場に戻ってレーザーショーを見て、速攻で打ち上げ開始だった。
 作業が終わっても時間に追われまくる段取り。  疲れていなければ可能な段取りだったが、昼飯の時点で全員疲労困憊。


 とにかく4時には終わりたい。  残り3時間。  ラストスパートで一人一人が1つの作業に専念していた。  やっと雪像つくりみたいになった時間だった。  これも2年前と良く似ている。


 午後4時。  とりあえず完成!
 他のチームが時間を惜しんで作業をしているのを横目に僕達は撤収開始。  だって温泉が混むんだもん。  早く飲みたかったし…。
 片付けも想像以上に時間がかかり、時間は無情に過ぎるばかり。  疲れも無情に溜まるばかり。


 荷物を積み込み終わって貸し別荘に戻って道の駅/荘川にある温泉に向かったのが午後6時でした。  車2台に分乗して20分ぐらい走って到着。  駐車場はいっぱい(>。<)  これでは温泉の中はギュウギュウ詰めだと思ったけど、意外に空いてました。  2年前は牧歌の里の温泉で身動きできない風呂を味わっていたので、これは正解でした。  体を洗って湯船に浸かって、やっと生き返りました。
 がっ!
 既に握力を失っていたので今年もタオルが絞れなかったです。


 貸し別荘に戻る前にスーパーでプチ買出し。  打ち上げと称した宴会は午前2時過ぎまで行われました。  僕は開始早々ダウンして、2時間ほど別室で寝てしまった。  寝たけど…睡眠学習みたいに話し声だけはよく聞こえて、何を話しているのかよく分かったし覚えている。
 
 目が覚めて再び宴会に合流しました。  しかし最近の流行の歌やタレントの話は全然分からないので頷いたり驚いたりしてるだけでした。  もっとテレビを見ないといけませんね。  つか…  そんな事を思う歳になっちゃったのね。


 宴の終止符は「もう寝ましょう!」の一言。  それからはイビキで会話してるかの如く、時は過ぎて直ぐに朝になりました。
 僕は途中で仮眠しちゃったので朝まで起きてました。  「この布団はどうしたらいいのかな?」  「鍵は何処に持って行けばいいのか?」  「支払いは?」  いろんな事を悩みながら、いろんな事を想いながら外が明るくなりました。


 午前7時から一人一人起き始め…  午前8時から貸し別荘の片づけを開始して、午前8時半にcafeるりはさんでモーニングをいただいて、モロモロの精算を済ませて、午前10時に審査発表に向かいました。


 午前11時から審査が始まりましたが…  今年は審査員の多さに驚きです。  なんと小学生やら、たまたま来ていた人にも審査を依頼する徹底ぶり!
 だけど分かりました。  いくら老若男女が分かる雪像でも、綺麗じゃなければダメだという事が!
見た目綺麗。  これが高得点に繋がるワケですね。


 正午から行われた審査発表。  17チームが出場して結果は予想通りの15位。  でも完成したから僕達的にはOK!  2年前よりも少し順位が悪くなったけど、2年前よりも景品が良かったから嬉しかったです。
 別に何処のチームが優勝して賞金20万円を獲得しようと関係なかったので、貰えるものだけ貰ったら「お疲れさまでしたぁ!」と速攻で撤収&解散しました。


 帰り道はスッゲー眠くて、渋滞したいたら間違いなく居眠り運転になっていた。  でも高速道路も一般道も空いていたので、レンタカーを返却する2時間前の午後3時に帰宅。  片付けは拷問みたいに辛かったです。  だって全身筋肉痛で動けないし、眠いし、15位だし…。
 全部片付け終わってから久しぶりに米を食べて日本人だった事に気がついたような脳死状態。  体も動かないし頭も使えない。  死んでるみたいな感じでしたが、とにかく一段落。  嵐のような46時間だった。


 …とまぁ、参加する事に意義がある肉体労働的イベント。  仕事や家の事を忘れて皆で一つの事に打ち込めるのは耐久レースみたいで本当に大好きでした。  本当に面白くて…  いろんな思い入れがあって、その日その時に向かって走っていたかのような!
 参加された皆さんの、素敵な思い出になれれば幸いです。

 cafeるりはさんには何から何までお世話になりました。  また珈琲を飲みながら、振り返って笑いましょう♪
お疲れさまでした。
by606
第9回 たかす雪まつり